2015-06-01
クラウスとレオナルド。
表すのに適当な語があるとすれば、「二人で一人」に尽きるような気がします。
個々のエピソードで差はあるにせよ、全体に話の語り手はレオナルドで、その語るべき話の核となる存在がクラウスです。
見るのがレオナルド、語られるのがクラウス。
戦闘においても見るのがレオナルド、闘うのはクラウス。
とは言うものの、クラウスも諱名が見えないと999式使えませんから単独で勝てるかというと微妙なところ。
レオナルドはもちろん単独で血界の眷属戦に赴くのは無理ですし、どっちが欠けても血界の眷属(特に長老級)に対峙する戦場では使い物にならないという、この圧倒的ニコイチ具合。
そのニコイチ部分を核に、要素が対称と言えるほどに対照的。
体格、視力、兄弟、植物に好かれる方と動物に好かれる方、部屋籠もりか外出歩きか。そんなに離れてる訳じゃないと思うけど年齢、それに出自も一応入れていいか。
ことに対称となる要素の中で「兄であるレオナルドと弟(おそらく末っ子)なクラウス」という点で、年や立場の差から考えるイメージと逆転しているところが、リズムの中のアクセントでたまらない。
そして対称であるからこそ、核の部分の同一性が際だつと言いますか。
どこら辺が同一なのか。
まず、世界で唯一に近いレベルの希少な能力であるという点。
そしてその能力に付随する責任感、使命感。
それから、ここは推測になりますが、どちらの能力も本人の希望に関わらないところで得たものではないかと考えています。
レオナルドの能力はもちろん、冒頭で記述された通りいきなり押しつけられた力です。
クラウスの能力についての記述はまだほとんど無いのですが、5巻「Zの一番長い日」において初対面の汁外衛師匠がクラウスの顔を見ただけで「貴様が滅獄の術式を付与されし血か」と聞く訳ですから、あのブレングリード流の能力に、見れば分かる特徴があるんではないかと。
そりゃどう考えても牙ですよね。
一見ただのチャームポイントでしかない下牙ですが、受け口でもない普通の顎の骨格で口の端から覗く牙は、かなりの長さがあるはずです。
笑顔が怖いというのは、笑うと下唇が引けて牙がかなりの部分出る所為でしょう、ただでさえ厳つい顔だからなあ。
さてザップ曰く「俺なんかよりよっぽどえげつない」というブレングリード流血闘術。
通常人体の骨格でありえない、血界の眷属と逆に下から生えた牙をどう考えるか。
血界の眷属の「細胞レベルにまで浸食してダメージを与える恐ろしい血液」(4巻「BLOOD LINE FEVER」)で闘う他の流派と違って血界の眷属を封印できる血とは何かをどう考えるか。
血界の眷属は人のDNAに直接術式を書き込む人体改造の結果です。
じゃあそれに近い人体改造を受けて封印を可能にする血液を作り出している可能性があって、何か不思議がありますか。
そもそも血界の眷属とは何であるかの研究と対策の専門家であるエイブラムスが「師匠筋」なんですから。
そう考えると案外流派としては新しいとか、流派の中でも試験段階の技術の部類である可能性もありますね。
4巻「BLOOD LINE FEVER」のスティーブンによれば、不死者を死なせる矛盾を克服するまでの「大いなる時間稼ぎ」の中に存在する「長老級にすら届く牙」がクラウスですし。
呪いの逆さ十字と同様に、血界の眷属を呪い返す証の逆さ牙。
人体改造である、と考えればそんな改造を受ける理由が果たして何なのか、ということも考えなければいけません。
4巻「とある執事の電撃作戦」でラインヘルツ家から派遣されてきたフィリップ君によれば「ノブレス・オブリージュ」となりますが、同時に伯爵家系のご子息が秘密結社なんて現場仕事にいそしむのは「疑問視する声も」あったと語られています。
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